多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズについて

白内障の手術では、濁った水晶体を取り除き、「眼内レンズ」という人工のレンズを眼の中に挿入します。
一般的な白内障手術では、「単焦点」の眼内レンズが用いられます。

術後はピントを合わせる能力が無くなるため、いわゆる老眼と同じ見え方になります。お若い頃のように見たい距離にピントを合わせることができず、ほとんどの場合メガネが必要になります。

一方で「多焦点」眼内レンズでは、複数個所(2カ所以上)に焦点を合わせることができるため、お仕事の内容や生活スタイルに合わせて多焦点眼内レンズを選ぶと、メガネの使用頻度を減らすことができます。

単焦点レンズと多焦点レンズの見え方の違い

一般的な老眼の見え方
(遠くはみえるが近くは見えない)
多焦点眼内レンズで治療した時の見え方
(遠方も手元も良く見える)

多焦点眼内レンズはメガネなしで見える範囲が広がるので、とても便利ですが、単焦点眼内レンズに比べて見え方で気になる点もあります。

グレア・ハロー

暗いところでライトの光が広がったりまぶしく見えたりします。

コントラストの低下

眼の中に入る光を分けてピントを合わせるので、見え方の解像度が少し落ちます。

多焦点眼内レンズは高機能な眼内レンズで、メガネの使用頻度が減って生活の質が向上する可能性がありますが、以上のような欠点もあります。

当院取扱の多焦点眼内レンズ一覧

当院で扱う多焦点眼内レンズの種類

レンズ外観 Clareon Pan Optix Clareon Vivity TECNIS Odyssey Vivinex Gemetric
名称 Clareon Pan Optix Clareon Vivity TECNIS Odyssey Vivinex Gemetric
メーカー アルコン アルコン ジョンソン&ジョンソン HOYA
生産国 アメリカ アメリカ アメリカ 日本
光学部デザイン 3焦点回折型 焦点深度拡張型 焦点深度拡張型 3焦点回折型
乱視矯正
焦点距離 約40cm・約60cm・∞
近方・中間・遠方
約50-60cm~∞
中間~遠方
約40cm~∞
近方・中間・遠方
約40cm・約80cm・∞
近方・中間・遠方
30cm ×
40cm
50-70cm
1-3m
5m以上
夜間の運転
ハロー・グレア
コントラスト
費用 29万/32万 29万/32万 32万/35万 32万/36万

ご自身のライフスタイルによって、最適なものを選びましょう。
多焦点眼内レンズには様々な種類があり、レンズごとに特徴が違います。
ご自身のライフスタイルにあった眼内レンズを選択しましょう。

手術費用について

通常の単焦点眼内レンズによる白内障手術費用は保険給付の対象ですが、多焦点眼内レンズ費用については自費でのご負担になります。(選定療養)

選定療養とは

選定療養とは、健康保険適用外の治療を追加費用負担することで、保険適用の治療と合わせて受けることができる制度です。

2020年4月から多焦点眼内レンズを用いた白内障手術が選定療養で実施できることとなりました。

白内障手術自体は通常の保険適用の手術で受けていただくことができ、多焦点眼内レンズを選択することでかかるレンズの費用の差額のみを自費で追加負担いただくことで手術を受けていただくことができます。従来であれば、全額自己負担であった多焦点眼内レンズを用いた白内障手術費用の負担を軽減できる制度となります。

多焦点眼内レンズは有用ですが、誰にでも合うわけではありません。
特徴と利点、欠点を知った上で眼内レンズの種類を決めることが大切です。
ご希望の方は診察時にお申し出ください。

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